今月のpeople
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中央区波止場町の会社で働いていた10年前から、元町商店街のファン。
「五丁目は、歩いているとミニ世界一周旅行をしているようです。店構えに歴史を感じ、和洋中の個性がうまくミックスし、走水神社への通りもある。こんな風景は他にないです」
と、ものすごく熱く語る久木田さん、通称クッキーは建築学科卒のプランナー。月に一度、商店街のどこかで"ぐるぐるLibrary"−商店街で本の楽しみを共有するワークショップ−を開いている。昭和46年生まれ。鹿児島県出身、滋賀県在住。K3.PROJECT代表。
―ぐるぐるLibrary(ライブラリー)って何ですか?
店頭に本箱をおいて、お店の人が読んだ本を並べ、こんな本が好きです!」と発信していると、「へぇ〜商店街っておもしろいことをしているんだ!」「本の好みが似ているからお店に入ってみようか?」と通りを歩く人の好奇心がくすぐられるのではないでしょうか。本を通した好奇心を元に、商店街の店舗をぐるぐると回って貰うための仕組みが"ぐるぐるLibrary"です。お客さん同士、お客さんとお店の人、お店のひとたちの間でも、本の好みを通して、趣味の話をするきっかけにもなればいいなぁと。そういう文化が歴史を持つ商店街から広がればいいなぁと思っています。
今まで6回のワークショップをひらきましたが、本箱に関しては、お店のイメージもあるし、場所をとるので、お店の人、参加者と一緒になってよりよい方法を考えていこうとしています。

―ワークショップの内容は?
毎回15人程度の方々に集まって頂いて、自分の好きな本の好きなところを声に出して読んだり、どうして好きなのか、どこに感動したのか話します。参加者は「へぇ〜!」と驚いたり、読んでみたい本の名前をメモしたりします。読む側も、声に出して読むことは少ないようで、新しい発見があるようです。時間が経つに従って、好奇心が満たされていきます。本は、コミック、新聞の記事、歌詞・・・ジャンルは何でもいいのです。

―久木田さんも本が好きなのですか?
僕は、本というより、人が集まるのが好きです。大好きな本を通して人が集まるなんて、素敵じゃないですか?場所があるから何かが生まれるのではなく、人が集まるから場ができると思っています。人と人とのコミュニケーションから場は生まれ、新しい可能性が生まれると思っています。

―それが商店街の活性化と、どのようにつながるのでしょうか?
「うちのお客さん」「よその店のお客さん」と分けるより、商店街のお客さんと思うことが、商店街のファンを増やすことにつながるのではないかと。「この店がおもしろいと思うなら、あそこの店も行ってみたら?」と、本を通して、お店の特長や店主の趣味などを知っていれば、伝えやすくなると思うんです。ぶらぶら商店街を歩く人が、楽しいと感じる空間をつくり、楽しい時間を過ごしてもらうことで、買い物だけではない、商店街の価値が生まれると考えています。
(写真 田村嘉久 ぐるぐるLibrary提供)